さかい目マタギ

サラリーマンと自営業、アメリカと日本、難聴と健聴 といった境目をまたぐことについて思ったことを書くブログ

1歳半で子供の難聴がわかるまでの経緯と発覚が遅れた原因3つ

つい最近、うちの子が難聴であることが発覚しました。
自動車のクラクションでさえほぼ聞こえない重度のもので、今のテクノロジーを駆使しても聴こえる側の世界との隔絶を感じ続けることが予想されます。

後述するように、うちでは人口内耳をつけつつ、手話を中心とした聾教育を受けさせるという方針をおおむね定めました。

本人の無垢なかわいさと家族のおかげで、音の聴こえない人々のことを知り、僕にとって新たな世界の境い目、聴こえると聴こえないの境い目を超えたいという前向きな気持ちになっていますが、

難聴が発覚してからここまでくるのにやはり試行錯誤や悩みはあり、おそらく同じ道を通るであろう難聴者家族のために、経緯をまとめておきました。

 

発覚までの経緯

新生児聴覚スクリーニング

新生児全員ではないですが、多くの新生児が新生児聴覚スクリーニングという検査を行います。
うちもOAEという手法でその検査を受けました。
今思えば、フラグだったのしれないですがが新生児のスクリーニング検査で一度「要再検(refer)」がこのとき出ましたものの最終的にはパス。
「要再検」は文字通り何かの症状が確定したという判定ではなく、羊水が残っているといった新生児特有の原因があるかもしれないので精密検査が必要ということです。

※新生児聴覚スクリーニングの詳細はこちら

パスしたことに安心し、生まれて半年くらいは普通に子育てを続けていました。

発達障害自閉症を疑う

うちには子供が3人いて、その末っ子が難聴なのですが、同い年頃の姉妹とくらべると、小さくて、おとなしかったです。そろそろ赤ちゃん言葉がでてもおかしくない、生後6か月になってもなにも言わず静かでなんだか目もうつろな感じ。
しかし、生後4ヶ月頃から継続的にかかっていた小児科の先生は「正常範囲内」ということで特に対応はなし。聴覚障害も一つの可能性としてこちらから聞いてみたものの、新生児聴覚スクリーニングをパスしているので大丈夫だろうということで聴覚診断などは勧められませんでした。

難聴発覚

呼びかけても反応しないのでやはり難聴なのではないか?ということを疑って耳鼻科を回りはじめたのが、生後14カ月頃。改めて聴覚検査をしたところ最初に出た結果について医師は「聴覚障がいはないけど、反応は鈍い」と、曖昧な診断。納得いかず別の病院で再度検査を行ったところほとんどの音量に対して反応がないという結果でした。

新生児聴覚スクリーニングもパスして小児科にも見てもらっていたのになぜ・・といった心境でした。

 

難聴が発覚しづらい理由3つ


1. 新生児聴覚スクリーニングの精度には限界がある

新生児が自分のことを説明したりできない以上、検査に頼るしかないのですが、新生児聴覚スクリーニングで使われる、AABRやOAEといった手法はすぐに確定した結論を導けるほどの精度はありません。
ちなみにうちがやったOAEという検査は蝸牛が音に反応するかを見ますが、これが検査できるのは耳の外側に問題がある場合(伝音性難聴)のみで、奥の神経に問題がある場合(感音性難聴)は検査できないようです。
また、すんなり検査をパスしても進行性の難聴の場合は捕捉できないこともあります。

2. 先生が正しいとは限らない

一概に言えないのはもちろんですが、小児科の先生は広範な病状についての広く浅い知識が求められている医者なのだと経験から理解しました。
なので、専門性が高くないとわからない特定分野、例えば難聴については耳鼻科の先生のほうが当然得意です。
うちの小児科の先生も最善を尽くしてくれたのだとは思いますが、わからないことは指摘できません。

また、耳鼻科の先生でさえ最初診断を誤りました。病気や障害を疑ったら、その道に詳しい先生を自力で見つけ出すしかないようです。

3. 難聴が遺伝要因であるとは限らないので親が難聴を知らない

難聴のこどもの90%は聴こえが正常な両親から生まれるそうです。
遺伝性はその中での30%とのことで、自分以外の親族にさえ難聴者がいないことも多いのだと思います。
うちの場合もそうで、両親の家系に難聴者はおらず、へその緒を後日検査にまわしたところ妊娠時のサイトメガロウイルス感染が原因だったとのことでした。

なお早期にサイトメガロウイルス感染に対して投薬をすれば治る事例があるとも聞きましたので、疑いがある場合には早期検査をおすすめします

最終的にはやはり頼りになるのは親自身の「何かおかしい」という感覚とそれを突き詰めるリサーチ力ということになりますが、本ブログエントリーがお役に立つと嬉しいです。

 

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