【子供が難聴だとわかったら】語意学習4つのバイアスを意識することで効果的に教育を
「耳の日記念のつどい講演会」というのが本日ありまして、キッズファーストというところで先進的な難聴児教育をされている福島先生の話を聞く機会に恵まれました。
話してみると手話にも理解のあるバランス感覚のある先生で、活動が倉敷ベースなのが東京在住者の私としては惜しかったです。
さて、その中で言葉を覚えるにあたって気をつけなければいけない4つのバイアス(思考の癖)があるという話があり、興味深かったので調べてみました。
話の中では、日本語の音声の教育ということが念頭ではありましたが、恐らく手話も言語である以上は適用可能なことだと思われます。
うちのように、健聴者の家庭の難聴のこどもや、逆にコーダと呼ばれるろう者の家庭に生まれた難聴のこどもをどう言葉や概念を習得させて、思考力を発達させていくのかは結構不安なものだと思います、
言葉の習得にはどのような癖があるのか、というのを踏まえてと漏らしがちな語彙だったりつまずきやすい概念というのを意識してインプットしてあげる一助となれば。
それでは、早速。
1. 事物全体バイアス
ものごとのディテールではなく、輪郭のあるまとまり全体のことを指すものだと考える癖。
「これが犬」と言われたら、その色や毛並み、頭や耳ではなく、それ全体を指すのだと理解しますよね。
恐らく親として説明する場合も、ディテールからは入らずにそれ全体が何か、ということから入ると思います。
教育上の留意点:なので、逆に全体の理解から先の部分が抜けがちになります。例えば犬でいえば、「犬だね」で終わらず、毛の色や毛並みの質感、耳の形や足の運び、といったことを意識して伝える必要があります。
2. 相互排他性バイアス
一つのものには一つの名前があるだろうと考える癖。別の言い方をすると、未知の言葉に出会ったら恐らく未知のものを指しているだろうと考える癖。
犬を知っている子が、犬と猫が並んでいる写真を見せられて、「ネコだよ」と言われたら犬じゃないほうだろう、と予測するんですね。
(猫:あん?)
教育上の留意点:なので、犬かつ、ポチかつ、パパ犬かつ、哺乳類かつ、みたいな属性が重複しているものの理解というのは難易度が高く、意識して教えてあげる必要があります。
3. 名詞カテゴリーバイアス
何かの例えば名詞を聞くと、それを固有名詞ではなく一般名詞(カテゴリー)であろうと考える癖。最初に犬を指して「ポチ」だというと、犬っぽいものを指して「ポチ」と全部呼ばわるわけです。
(真ん中:どっちかというとルドルフやな)
教育上の留意点:相互排他性バイアスが、属性の重複を理解しづらくしているバイアスだとすれば、これはそれぞれの属性の抽象度の高低をわかりづらくしているバイアスと言えます。その言葉が社会的にどの範囲で通用するものなのかも併せて教える必要があります。
4. 形状類似バイアス
ものとものを連想する切り口はたくさんあります。例えば、色、におい、時間、場所、、あまたある中で、形状に一番強く反応して同じものか否かを判断する癖。
(※簡単なので画像省略)
教育上の留意点:まだ青いバナナと、熟したバナナは同じものだとすぐ理解できるけど、例えばバナナとイチゴが同じ果物というカテゴリにあることは意識して伝えないとわかりづらいんですね。
以上、初歩的な解説と自分なりの理解ですがまとめました。
もっとディープに知りたいというかたにはこちら参考にした文献貼っておきます。
余談ですが、子供は直感的にひとや動物には固有名詞がつくけれど、人工物(スプーンとか)にはつかないことをわかっているそうです。
認知の世界は奥深いですね。もっと勉強していきます。